【番外編1】Cafeの窓際から

(更新日:2013.03.08)
こんにちは。
Satoです。


お久しぶりです。

春の足音がもうすぐそこまで近付いてきた今日、この頃。
STARBUCKSのソイさくらなんちゃらが美味しい今日、この頃。
花粉症による鼻のかみ過ぎで小鼻がカサカサになってきた今日、この頃。

皆様いかがお過ごしでしょうか。

そして。


そして…?


コラムって、どうやって書き進めたらいいんだっけ…(真顔)。


え~、最終回から約4ヶ月。
京都でのイベントライブ出演後にスタートしたひとり旅、いよいよここから!というタイミングで最終回を迎えたこのコラムでしたが…


テッテレテー!!(※ファンファーレ)

新星堂さんのご好意により、何と今回、「番外編」として旅の続きを綴らせてもらえることに!


自分的にはやっぱり、その旅の続きこそが面白かったからね。
旅から帰ってきての11~12月あたりから、少しずつ今回の内容を書いてはいたのです。
そして今回、またここでお伝えできるってことで!

新星堂さん万歳!\(^o^)/


そんなわけで、屋久島へ船で渡るあたりの自分に記憶の手を伸ばしつつ…

今回は自宅デスクにて、屋久島産の薩摩焼酎「三岳」をお供に。
目が明く藍色/サカナクションをBGMに綴って参ります。



前回は京都から彦根、彦根から大阪、そして鹿児島へやってきた僕。

いよいよ、前々から思いを馳せてきた屋久島が近付いてきた…!
と同時に、南西から台風も近付いてきた…!

海、大荒れ。

乗る予定だった朝一のフェリーが欠航。
コラムの仕上げと手続きにバタバタしながら、午後発の高速船に滑り込む。 (ちなみに、前回のコラムはこの高速船内にて完成。そしてやっとこ入稿という時、Wi-Fi電波が途絶えるという悲劇…屋久島では僕の使っているWi-Fiが一切繋がらなかったのです。)


かくして高速船は激しく揺られながらも無事、屋久島到着。
同時に、台風もしっかり屋久島到着(微笑)。

豪雨の洗礼を浴びながら宿へ。
程なくして飛行機で仲間2人も到着し、登山用品レンタル店で待ち合わせ。

前々回のコラムで熱く語っていた「屋久島にて現地集合」達成の瞬間である。

ここはね、もちろん、必要以上に熱く…!

屋久島で豪雨というなかなか非日常なシチュエーションの中、握手からの抱擁を交わす男三人(微笑)。


で。
登山装備をしっかり準備して、豪雨の中での登山に備える。
(ちなみに、このレンタル屋の皆さんと仲良くなり、店のインターネット回線を借りてのコラム入稿に成功…!笑)


その夜は軽く前夜祭。トビウオを食らう。
宿に引き揚げてからは、登山コースと荷物について真剣にミーティング。


ここで説明しよう。
屋久島登山の最もメジャーなコースとして(多分)、以下の二つがある。

【1.荒川登山口からの縄文杉コース】
約2時間半のトロッコ道を淡々と歩いた後、急勾配な山道を2時間かけて越え、樹齢4000年と言われる縄文杉を目指すコース。
後半の山道では「夫婦杉」「ウィルソン株」など名物杉が続々と現れる。 屋久島で登山に行く人の過半数はコレ。
往復8~10時間。

【2.白谷雲水峡コース】
通称「もののけの森」ーその呼び名が示す通り、苔(コケ)と霧に包まれた幻想的な風景を味わうコース。
途中で少し遠回りすると「太鼓岩」という名物スポットがある。
この岩に到達する直前の急坂を乗り越えた人だけに、それを祝福するような素晴らしい眺めが待っている(はず)。一般的にはここがゴール。
また、そのまま白谷雲水峡の往路を約3時間かけて踏破すると、縄文杉コースのトロッコ道の終点直前にある「楠川分れ」に合流する。
往復4~6時間。

で、協議を重ねて完成した僕達のオリジナルコースはこんな感じ。

【3.男は両方!コース】
縄文杉コースからスタート。
まず往路はハイペースで縄文杉まで到達し、復路の山道を降りきる。
そこからトロッコ道には戻らず、上記の「楠川分れ」から白谷雲水峡コースに突入、そのまま下山。
モチのロン、太鼓岩も押さえる。
往復10時間予定。

欲張りなコースだけにリスク有り。

雨で一定以上まで増水すると、白谷雲水峡コース途中の小川が渡れず、来た道を引き返すしかない。
その場合、縄文杉コースの「楠川分れ」まで戻る頃には、日が暮れて真っ暗になっている可能性が高い。


諸々を皆で確認し合い、天候や川の状況次第ではこのロングコースに挑もうかというところまで決め、サクッと就寝。


ところで、伝わっているだろうか…

この真剣っぷり!(微笑)

事故が起こらないようにっていうのはもちろんだけど…
今思えば、大のオトナ達が遊びのために本気で意見を出し合い、「これを目指したい!」なんて皆で熱くなれる機会、なかなか無いから。

そんな打ち合わせ一つとっても、ちょっと照れつつも嬉しくて楽しかった。


というわけで翌朝、3時半起き。

天候、豪雨。
登山バスを乗り継いで6時前、荒川登山口到着。
腹ごしらえをしてからの午前6:27、登山開始。


トロッコ道。
凄く単調と聞いていたけど、雨が降ることによりドラクエのダンジョン感があって。
一人で密かに興奮(ドラクエわからない方、ごめん)。

川は激しく増水中。轟音。
そんな川に架かってる、手すりの無いトロッコ橋。マジ恐い。

たまに並び順を変えながら、ひたすら歩く僕ら三人。


トロッコ道の後半にさしかかる頃、太陽が上ってきた。
雨足も弱まってきた。

ここら辺で、蛇と屋久鹿に遭遇。
屋久鹿は尻だけハート型に白い。可愛い。


楠川分れを通過し、トロッコ道の終点に到達した頃にはすっかり快晴!

例の「欲張りコース」行けちゃう希望が出てきた。

ここから登山の本番、山道に突入。
想像以上に足場が悪くて、登山靴とゴム付き軍手が活躍。
(一応借りておこうか~とかボヤきながらレンタルしておいて良かった…正直なめてたから。)

大王杉、翁杉、夫婦杉、ウィルソン株などの大物登場。

湧き水、激美味い。
非日常的な風景の連続。

依然として厳しい登り。

年配の方が登ってるのにもたくさん遭遇したんだけど、本気で心配してしまうくらいこの辺りはキツい!

僕は下りよりも登りが好きなんだけど、この登りはいつまで続くんだろう…とさすがに思い始めた頃、今までとは少し雰囲気の違う高台が。


高台への階段を登り切った午前10:25、縄文杉と静かに対面。




ドカーンとそびえ立つ縄文杉を前に、皆で「うわーい!」みたいなシーンを想像していたんだけど(笑)

もちろんデカいにはデカいんだけど…圧倒的というより、穏やか。

他の名物杉たちとは全く違う、見るものを包み込むような枝葉の広がり方、表皮の退色具合、静かに流れる時間。

何か「ありがたいなぁ」って思った。
有るのが難しい=有り難い
推定樹齢4000年という時間…想像なんて全くつかないけど。

僕は無意識に、雨上がりの縄文杉から滴り落ちてくる雫を手の平に受けた。 ドラクエで言うならば…レアアイテム「世界樹の雫」である(わからない方、ごめん)。


ともあれ、一つ目の目標達成!
仲間達と軽く握手を交わす…っ!(←これ重要)。

縄文杉をひとしきり味わい、10分程度で出発。

ここで、「欲張りコース」を達成するための条件その1、川の増水状況。 轟音だった川の音も、この頃にはかなり静かになってきてた。 行き交うガイドさんに聞いたところ、多分大丈夫じゃないかとのこと。

イケるかも。

条件その2、時間制限。
太陽が出ているうちに下山するには、例の「楠川分れ」通過は13時過ぎが目安。
苔と霧の道でもトロッコ道でも、素人に真っ暗闇の山道はヤバい。

ここからは時間との戦いということで、駆け足気味に下山。
下りの山道は膝に負担がかかる。
踏ん張りがだんだん効かなくなってきた。

13:30に楠川分れに到着、ここで休憩がてらミーティング。

白谷雲水峡に向かうか、大事を取ってこのままトロッコ道を降りるかー

時間ギリギリ。
白谷雲水峡の小川を渡れるかどうかは結局、行ってみないとわからない。
でも今日はあれだけの豪雨が晴れてくれたし、今回は運がありそうだ。

というわけで、全員一致で白谷雲水峡コースへ。
(この場面、僕らは全員で「ヨッシャー!」と気合いを入れる。恐らく…この日一番の熱苦しさ、男クサさを記録。)

またしてもキツい登り。
風景も特に変わらず、ひたすらキツい。


1時間程度歩いた頃、逆方向から登山者が!
ということは、先ほどの条件1「川が渡れるかどうか」はクリアってこと。
これであとは、純粋に時間の問題。


再び分かれ道。
「白谷雲水峡← →太鼓岩」

太鼓岩は眺めが良いらしい。

僕個人的には、山に来たからには「バーンと開けた爽快な眺め」に出会いたかった。
縄文杉は開けた場所に立っているわけではなかったから、太鼓岩はマストだなって予感がしてた。

で、この太鼓岩に向かう道というのが、実はこの日一番の急坂。
ここは本当にキツい!!

正直、縄文杉コースよりもこの坂が凄い。
この超急坂をだいたい20分くらいかけて、もうね、気力で登るわけ。

すると…


ドカーーーーーーーーン!!!


っていうとんでもない眺め、そしてとんでもない爽快感が待っていた。
キタ~!

これ…欲しかった~!

太鼓岩の上で寝っ転がり、すっかり晴れ上がった空を仰ぐ。
心地よい風が吹く中、間違いなく今回の旅のハイライトの一つであろう「今」を味わう。



画像と言葉だけでは到底、伝えきれないけど。
ホント、欲張って良かった…!

僕らの少し後から岩に登ってきたガイドさんに聞くと、普段は霧がかったりしてここまでクリアに見渡せるのは珍しいそうな。

というわけで、思い残すことなく下山開始。
(しかし、こんなどデカい花崗岩がどうして山の上にチョコンとのっかっているのだろう。謎。)


登山、いよいよ終盤。

ここからは白谷雲水峡のメイン、「もののけの森」と呼ばれるゾーン。

苔に覆われた摩訶不思議な空間を歩く。
15時を過ぎると日が落ち始め、同時に霧がかってきた。
本能的にちょっと恐怖を感じる。
ヘッドランプ点灯。
ペースアップして下る。

16時前頃、濃霧に包まれる。

この辺りになると、もう完全に「膝が笑った」状態。
足の踏ん張りが効かず、岩や木に捕まって身体を支えながら下る。



数メートル先が全く見えない視界の中、黙々とラストスパート。
そして16:18、下山…!


無事に戻って来れた安堵感。

穏やかな達成感。

ジワっとした疲労感。

終わったんだなぁという寂しさ。


それらに包まれながら温泉直行。

からの、打ち上げ。
からの、沈没…


例えるならば「"リセット"できないドラクエの難関ダンジョン(時間制限付き)」。

無事、クリアー!




【旅の仲間】

屋久島で現地集合した二人の仲間をご紹介。
まずはギタリストの大祀さん。現在は[MU:]やニンジャマンジャパン、サポートワークなどでご活躍中。
そしてMELLOと天照(僕と大祀さんがそれぞれ在籍していたバンド)が所属してたレーベルの当時のマネージャーS氏、通称「ピッチャー」。

以前、お二人はインドの旅にも行ってこられたらしく、近いうちに屋久島に行くとの予定をたまたま聞き、僕も飛び入りで混ぜていただくような形でこの旅が実現。
ちなみに、大祀さんとは登山用品レンタル店での集合時が初対面。

自分で言うのも照れるけど、見知らぬ土地でこうして冒険を共にしてみて、凄く良いチームになれたと思う。

今思えば…一人で来たなら縄文杉だけでよかったかも知れない。
仲間と合流して、この素晴らしい眺めまでの苦しみと感動を「共有」できたのがやっぱり最高だったんだよね。



【屋久島のトシさん】

登山用品店のトシさん。
お笑いコンビ「タカ&トシ」のトシさんにちょっぴり似ていて、いつの間にか皆でそう呼んでた。
アウトドア好きが高じて、20歳という若さで本州から屋久島への移住を決めたそうな。

とにかくその優しさが表情からオーラから滲み出ていて、登山用品選びも本当に親身に手伝ってくれて。
夜にスーパーでバッタリ会った時も、オススメの居酒屋を教えてくれた上、そこまで車で送ってくれたり。

トシさん、ありがとう!

で、連れて行ってくれたその居酒屋の名前は…



【屋久島の味】

トビウオ
亀の手(貝類)
三岳
黒豚しゃぶしゃぶ
首折りサバ(→食べ逃した)


個人的に美味かったのは、

1位:太鼓岩の上で食べたバームクーヘン
2位:タケノコの天ぷら

両方とも、屋久島、関係無し(微笑)



【お一人様ですか?】

登山翌日。
台風が通過したばかりで船は全便欠航。
僕は縄文杉以降の予定、未定。
仲間達は飛行機キャンセル待ちの末、無事帰京。

結果、一人で屋久島。

一人で散歩。
一人でカフェ。
一人でドライブ。
一人で文房具屋。
一人で屋久島大社。
一人で千尋の滝。
一人で「三岳」。
一人で焼肉屋。

一人焼肉は「お一人様」の最高峰。
オトナの証。

人生史上最高、ひとり言が多かったよ(微笑)。



【屋久島のおっちゃん達】

カフェのおっちゃん。
登山用品店のおっちゃん。
民宿のおっちゃん。
豚しゃぶ屋のおっちゃん。
屋久島唯一のハイブリッドタクシーの運ちゃん。

今回の旅は、人生の先輩方である「おっちゃん」達とたくさん会話した。

本州に住んでいたのに屋久島に住むことを選んだ理由。
お店をやりながら現役ガイドとしても活躍している話。
若い頃やんちゃした話。
奥さんに浮気がバレた話。
病気して大きな声が出なくなってしまった話。

ま、僕も「おっちゃん予備軍」だけど。
いや…ちっちゃい子からしたら僕ももう「おっちゃん」と呼ばれるのか。

もとい。

登山翌日、一人で散歩してたらタクシーの運ちゃんにバッタリ遭遇。
タクシー車内をガサゴソ探して、手作りの「屋久杉ストラップ」をお土産にくれてね。
屋久杉の凄くいい香りがするんだ。



あと、宿泊した屋久杉造りの民宿室内もこの香りだった。

このストラップの香りを嗅ぐと、この旅で感じた透明な感覚がフワッとやってくる。



【最後の屋久島】

悪条件が重なる中でも、この「欲張りコース」にこだわりたかった僕達。
その理由は「恐らく、屋久島にはもう一生来ないだろう」という事。

登山前夜の打ち合わせ中にそんな話になって…
ここまで言い切ると、ちょっとドキッとしてしまう。

つまり、今後また旅に出る機会があるとしたら、きっと屋久島以外、まだ行った事のない場所を選ぶだろうという事。
(上述のトシさんみたく、屋久島と心中したい!って場合は別としてね。)
現実的に考えて、もう屋久島に行くことは無いんじゃないかと今も思ってる。

僕達に与えられた時間は有限だ。

今回が最後となっても思い残しの無いように。
いつ終わりがきてもいいように。



…というわけで「三岳」を嗜みつつ、駆け足で、とっても細かく(微笑)振り返ってみました。

今回、この旅の画像を含めてfacebookページ「 SatosCafeBar 」にアップしてみたので、このコラムとも照らし合わせながら見てみて下さいな。


念願の屋久島。

縄文杉~もののけの森の探検、完全納得。
本気で遊ぶって、大事!

屋久島、ありがとう。


余談。

屋久島での現地解散時に交わした、例の「また東京でー!」。
旅から5ヶ月後にあたる今月、その「また」の再会が某焼肉屋にて果たされます…!
タクシーの運ちゃんから預かった「屋久杉ストラップ」、仲間の分を渡さなきゃね。

さて、屋久島の後も少しだけ旅は続きます。
続編はあるのか否か!ということで…ひとまず。

長々と読んでくれてありがとう。

ではでは、また近いうちに。
Satoでした。愛と感謝を込めて。