【第12回】GuitarとLetter

(更新日:2013.11.13)
世界は、『文章を手書きで綴ること』と
疎遠になりつつある。
さらにSNS(※1)の普及により、
日常生活において『手紙を書く』ことは
ほぼ無くなってしまったように思える。

だからこそこの時代に頂く、
『手紙』はとても貴重だ。

今までに読んだ中で
現在最も心に残っている人の言葉は、
『手紙』の中にある。
広末慧が最も心を込めて書くことが出来た言葉も、
『手紙』の中だ。

過去に付き合っていた女性から
特別な日にもらった『手紙』の内容は
一生忘れないし、
言葉に出来ないくらい感動して
その返事を『手紙』で書いた。
書いた内容も覚えている。
でもどんなメールをもらったとか、
どんなメールを送ったかは、
すっかり忘れている…。

『心の中を言葉として紙に書く』作業は、
知らず知らずの内に
相手だけではなく、
自分ともコミュニケーションを取っている。
心理状態を文字に起こす際、
メールをカチカチと携帯のボタンで
打ち込んでいるだけでは、
自分との対話にはなっていないのだ。


非常にありがたい事に
音楽活動をしていると、
ライヴやインストアイベントで
『ファンレター』を頂く。

自分がファンレターの返事を
出していた時に気付いたのだが、
一枚の手紙を書くのに要する時間は、
メールの比ではない。
それを実感した時は嬉しかった。
もちろんメールにはメールなりの良さ
(感想をリアルタイムで受け取れる)があって、
嬉しいし、
楽しんで読んでいるけれど、
手紙を読んだ時の『感動』と種類が違う。


過去~現在まで沢山の『手紙』を頂いた。
デビュー時からほぼ全部とってあるので、
ちょっとだけ紹介するね。

こういう段ボールが、部屋に何個もあります。

61_2_1

61_2_2

一番上の黒い手紙、
バンドのデビュー当時に頂いたもの。
一番下は最近、頂いたもの。
誕生日の日付が入ってるのとか、
当時の写真が貼られた手紙、
色紙、ライヴアンケートを見ると、
凄い懐かしいなぁって思うね。
ライヴアンケートの質問が、まず謎すぎる。
『恋人にするなら誰マスカレード?』
二階堂隼人・広末慧・三階堂襲人・狭末ゲイ←丸をつける
ってなんだコレ…
三階堂さんとか選んだ人いたの?


落ち込んだ時に
読み返してます。
どんな時に俺のギターを聴いてるとか、
ライヴの時どう感じたとか、
私生活とか、
色んなことを書いてくれてますね。

もちろんファンメールとtwitterでも、
何気ない一言で傷ついたり
感動する瞬間があったりして。
面白いと思う。
その反面、
俺の意図していない一言、
呟きで嫌な気持ちになる人がいたりしそうなので
本当は極力ブログやtwitterでなく、
楽曲とギター、ライヴで、
6本の弦を通して
生きている想いを伝えていきたい。
それが『Six Strings to Live』。


デビューの時に
『あの楽曲をカヴァーするなんて嫌です』
みたいな『手紙』も沢山頂いたし、
『ギター本当は弾いてないですよね?』とか、
『ライヴにもう行きたくないです』とか、
超色々あったんだけどさ(笑)、
その中での『応援してます』っていう言葉とか、
『慧さんの曲とギター聴いて頑張ってます』に、
本当に救われていて、
厳しい事をたくさん書いてた人も、
今にして思えば自分の想いを
広末慧にぶつけて『書いてくれた』っていう行為、
とても感謝してます。
今こうしてまだ自分が活動出来ているのは
この『手紙』の存在があるからなんだ。


こうして受け取った『手紙』を
書いてくれた皆への俺の返事は、
最高の景色で良い音を鳴らすこと。
良いライヴをすること。
そして自分の楽曲を
最高の歌と歌詞で届けられる、
ヴォーカリストと、
新しい活動を実現させること。

もし新しく活動を始めるとしたら、
間違いなくギタリストのソロ活動ではないです。
ヴォーカリストと一緒です。
これは断言しておきます。
その瞬間まで、
サポートギタリストとして
色んな場所でギターを弾くつもりでいるよ。


なんだか最終回みたいだけど、
まだ後一回、連載残ってるね。
次が最後です。


今回も読んでくれてありがとう(※2)。
『手紙』、『ファンメール』、
本当に全部読んでるからね。


(※1)ソーシャル・ネットワーキング・サービスの略称。
社会的ネットワークを
インターネット上で構築するサービスのこと。

(※2)手紙推奨みたいな回になっちゃってますけど、
決してそういうわけではありません。
全部ありがたく頂いてます。